どこか遠くに行きたいと常々思っている。特に平日の虚無のような仕事をしているときは強く思う。かといって当日新幹線や飛行機に飛び乗って県外へ出かけられるほど時間やお金に余裕があるわけでもない。この遠くに行く=お金と時間がかかるというどうしようもない方程式を崩すにはどうしたらいいだろう。そう考えたときに離島に行ってみるという手段を思いついた。
離島に行くには当然船を使わなければならない。普段の旅行ではあまり船を使う機会がないから、たとえ同じ県内でも船に乗るだけで一段と非日常感を得ることができる。
福岡から行ける離島は意外と多くある。博多湾に浮かぶ能古島をはじめ、玄海島、小呂島、相島、大島などなど。どれも魅力的で悩ましい。
悩んだ末、今回は福岡県内で最も大きい離島である大島に行ってみることにした。
きっと離島初心者には優しいだろうという安直な考え。
大島に行く
神湊ターミナルからフェリーに乗る
福岡市から車で1時間30分。宗像市神湊にある神湊ターミナルから9時25分発のフェリーに乗る。片道570円。
所要時間は25分と短い時間ではあるけど、やはり普段利用しない船に乗るだけで一気に非日常感が増した。
ちなみに波は穏やかでほとんど揺れを感じなかった。
ちなみにフェリーと船の違いは、フェリーは車を積載することが可能で船はそれができない、というものらしい。
大島到着。観光バスで砲台跡へ。
25分の航海はあっという間だった。
大島港に到着すると、フェリーに乗っていた多くの観光客は真っ先にレンタサイクルの受付に向かっていった。
一応この島での移動手段はレンタサイクルのほかにレンタカー、タクシー、観光バスがある。
詳しくはこちらを参照。
https://oshimacafe.com/oshima/
当初折りたたみ自転車を持っていこうかと思っていたんだけど、島内は起伏が激しいという前情報をキャッチしていたので観光バスを選択することにした。これは正解だった。
観光バスといっても大型バスではなく、車種でいえばハイエースで10人乗りの小さなバスだった。
料金は一回の乗車につき一律300円。一日800円で乗り放題となる。今回は2回利用することにしたので一日券は購入しなかった。
バスから降りる際に直接運転手に現金を渡す方式。ローカル感があってとてもいい。
向かう先は大島の中でも一番の観光スポットであろう砲台跡だ。
砲台跡 見渡す限り海
なだらかな草原の先に広がる大海原。もうこれ以上先に進むことができないという、僕が大好きな最果て感で辺りは溢れている。最高。
特に岬の上に建つ風車がいい。非日常的な孤独さを感じることができる。心地良い孤独感だ。
ところで砲台跡というネーミングインパクトたるや、その由来はまさに砲台が設置されていた戦争遺構であるところから来ている。
写真中央右側に写る小山みたいなものが監視台跡で、この場所のモニュメント的存在となっている。
その役割は日本海側から敵国艦隊を文字通り監視するためで、武器庫の役割も果たしていた。
監視台内部。
晴れた日には沖ノ島が見える
神宿る島とも言われている一般人が上陸することができない沖ノ島。
実はこの砲台跡から晴れた日には目視することができるらしい。
一応この日の午前中は晴れてはいたんだけど、春先特有の霞みによって残念ながらその姿を拝むことはできなかった。
せっかく望遠レンズも持ってきていたというのに残念。
沖津宮遥拝所
沖津宮を参拝する
砲台跡からまたバスに乗り、次は沖津宮遥拝所へ向かった。片道300円。
先にも記述した通り、沖津宮がある沖ノ島を一般人が上陸することは不可能だ。
だから一応肉眼でも拝むことのできるこの島に遥拝所が建立されている。
ここを参拝すれば沖津宮を参拝したと言ってもよいだろう、たぶん。
静かな場所
この日は平日だったから、というのもあるのだろうけど、それでも静かで波と風の音だけが辺りを漂っていた。
参拝。
大島名物甘夏みかん
遥拝所の近くに甘夏ミカンが売っていた。
売っていたと言っても籠にミカンが置いてあり、側に設置されている缶に100円を入れて持っていく人の善意100%の販売方法だった。
もちろんお金を入れて購入した。
ちなみに家に持って帰って食べた。非常に瑞々しく甘くておいしかったので見かけた際はぜひ購入することをおすすめ。
港町へ
徒歩で移動
沖津宮遥拝所を後に、今度は徒歩で港町へ向かう。
ここから港までは平坦であり、徒歩でも20分ほどで楽々と移動することができる。
もしここからバスを使う場合は計3回の乗車となり、1日乗車券800円を購入したほうがお得になる。
海から山、森へと少し歩くだけで景色が移り変わる。
港町
ほどなく住宅地が現れ、港町にたどり着く。
インターロッキングブロックが敷き詰められ、どこか懐かしさを覚える路地。
離島ならではというか、限られた平地に住宅地が建っているので密集感がある。
食事
島だから海鮮を、と思ったんだけどやはりみんな考えることは同じ。
海鮮を取り扱っているお店はどこも満席で入れなかった。
待つことも考えたけど帰りの船の時間もあったので、のぼりが目立っていたホットサンドを食べることにした。
Kitchen KAIKYUにて。
宗像牛メンチカツサンドとからあげ、グレープフルーツのセット。うまい。
海を眺めながらのんびりした時間を過ごせた。
超望遠レンズの出番
本当は沖ノ島を撮影するためだけに超望遠レンズも持ってきていたんだけど、前述の通り霞んでいてその姿を捉えることはできなかった。このままでは完全に無用の長物なので、何か撮影するものはないか探してみる。
すると明らかに干潮時にしか現れないであろう左右を海に挟まれた道(?)を見つけた。
探求心をくすぐられ、突き進んでみる。
砂利と岩が転がっている浅瀬だったため非常に足場が悪く、万が一転んでしまっては大事なカメラをぶっ壊してしまう恐れがあったためこの辺りは写真に撮っていない。詳しい様子は動画を見てほしい。
岩場を登ってみると遠くの水平線に不思議な形をした島のようなものが見えた。超望遠レンズに付け替えてこれを撮ってみることにした。
どうやら岩の上に灯台が建っているようだ。
撮影地点からおよそ4キロ先の灯台を捉えることができる超望遠レンズにロマンを感じる。
他にも遠くに浮かぶ赤い船や
ウミウと思われる鳥がいたので撮影してみた。
超望遠レンズ楽しい。
もう一つの神社へ
中津宮
帰りの船まで少し時間があったので、ターミナルの近くにある宗像大社中津宮へ参拝することにした。
静寂に包まれ、厳かな雰囲気のある神社だ。
階段を登って振り返ってみると、海の向こうに九州本土が見える。
ちょうどこの直線上に宗像大社辺津宮がある。
本土にある辺津宮、大島にある中津宮、そして遥か海の向こうにある沖津宮。
これら全て宗像大社の一つなんだ。
天の川伝説発祥の地
ところでこの中津宮の境内には織女(しゅくじょ)神社という小さな鳥居とお社がある。
参拝するにはロープを伝って急な崖を登らないといけない。難易度が高い。
この神社の向かい側には牽牛(けんぎゅう)神社があり、その間を小さな川が流れている。
ちょうど織姫と彦星のような関係にある。本当かどうかは定かではないが、ここが天の川発祥の地らしい。神社がそういうならそうなんだろう。
大島を後にする
さて船の時間になったのであとは帰るだけ。
帰りの便は車を載せることができない小さな船、旅客船「しおかぜ」。フェリーではない。
行きのフェリー「おおしま」は所要時間が25分だったところ、旅客船「しおかぜ」は更に短い15分で航行する。
爆速。
滞在時間でいえば4時間強ほどだったが、それ以上に濃密な時間を過ごすことができた。
同じ県内にありながら非日常を楽しむプチ旅行。離島はおもしろい。
このブログの元になっている動画もぜひご覧ください。