福岡県第二の都市北九州市。人口約93万人のメガシティは、福岡県どころか九州全体で見ても第二の都市でもある。ただ人口減少数は全国の市町村の中でも一位、二位を争う寂しいデータもある。ちなみに神戸市と競り合っているらしい。(参考:https://uub.jp/rnk/c_m.html)
大都市でありながらどこか退廃的な雰囲気のある北九州市をフィルムカメラで撮影してきた。
まず訪れたのは小倉駅から徒歩5分ほどの場所にある、小倉の中心部を流れる紫川に架かる木造の橋、常盤橋。
この橋は東京で言うところの日本橋のような存在で、小倉から九州各地を結ぶ五街道(長崎街道・中津街道・秋月街道・唐津街道・門司往還)の始まりの地点だ。
常盤橋の先にはタワーマンションが見える。歴史を感じながらその先には現代の象徴的存在があるんだと考えると味わい深いものがある。江戸時代の人々がこの光景を見たらどう思うだろう。
この日の紫川ではカヌーを楽しむ人々がいた。
青い川に浮かぶ色とりどりのカヌーは単純に写真映えするし、特にフィルム特有の淡い色味にアクセントが効いている。
小倉井筒屋。
建物と建物をつなぐ空中回廊的なものはよくある景色ではあるけど、フィルムで撮るとそれが最先端の技術に見えてくる。
さらにその建物が百貨店というだけあって、この一枚は令和五年に撮ったものとは思えない写真になったと思う。
道を歩く人の服装を見たら現代だと気づくか?
写真一枚で時代を超えるような感覚がおもしろい。
場所は少し移って旦過市場へ。
全国ニュースにもなったように2022年に二度の大火に見舞われた旦過市場。
その横を流れる小さな川、神嶽川(かんたけがわ)に架かる天神島橋から眺める旦過市場はかろうじて大火から逃れた景色だ。
ぎちぎちに詰められた建物とその壁面に取り付けられたエアコンの室外機、そして際を流れる川。
昭和の風景が色濃く残っている世界だ。
北九州モノレールの旦過駅へ続く歩道橋の上から撮影した旦過市場。
旦過市場こそ古い空間ではあるけど、その周辺は小倉都心ならでは都会的な建物で囲まれている。
この対比が最初の常盤橋に続き情緒を感じる景色の一つだ。
ふと振り返るとモノレールが通りかかったので慌てて一枚撮影。
九州では唯一のモノレールで、空中を走るその姿は北九州のものづくりの街としての象徴でもあるような気がする。
勢いよく曲がってきたところをうまく写真に収められた。連写ができないフィルムカメラだからこそ一回のシャッターはとても緊張する。
この緊張感が「写真を撮っているんだ」と強く意識させられる。それがフィルムの魅力でもある。
北九州モノレール旦過駅にて。
窓から差し込む日差しと誰も座っていないベンチ。撮らない理由がない。
ホームの端から撮影。もうすぐモノレールが駅に到着する。この黄色のモノレールは先ほど歩道橋の上から撮影した車両と同じものだ。小倉駅まで行って折り返してきたようだ。
この写真では一つ隣の平和通駅と、更に小倉駅まで見える。駅間の短さやビルとビルの間を縫うようにレールが伸びる様子から大都会の都心部を走っているんだと実感させられる。
モノレールに乗って旦過駅を出発。
北九州モノレールはワンマン運転だから車掌がいない。つまり最後尾車両は後方展望ができる。
走行中大きく車両が揺れるなかなんとかシャッターを切った一枚。被写体ブレすることもなく額縁のような構図で北九州の街並みを捉えられた。
モノレールに乗ってやってきたのは小倉競馬場。
元々この日の外出の目的は競馬だった。
いや、競馬といっても予想して馬券を買って……というのは写真でいうところの副題。本題は競走馬の写真を撮ることで、僕のお馬さん専用のアカウントで公開しているのでよければご覧ください。
https://www.instagram.com/aurinrin_horse/
だからこの日はフィルムカメラだけでなくミラーレスカメラのSONY α7Ⅲと望遠レンズも担いでいた。
なかなかに重装備だ。
パドックにて一枚。
こうしてみると競馬場は大きいし独特な形をしたおもしろい建造物だなぁと思う。
そして多くの人が見つめる先には凛々しい馬たち。
パドックから少し離れたところで俯瞰して眺めるとまた違った印象を持つ。
写真を撮るときはこんな感じで近づいたり、離れてみたり、俯瞰したり、違う角度を探すのが大事で、たぶんそれは写真以外の全てのことに言えるんだろうなぁと思いつつ撮り終わったフィルムをくるくると巻いていた。
使用機材
カメラ:NikonFE
レンズ:AI Nikkor 35mm F2S
フィルム:FUJIFILM FUJICOLOR 100
現像:近藤カメラ(〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2丁目1-1 B2F)
https://www.instagram.com/kondocamera/